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気になる病気がある


食道の病気

逆流性食道炎

 逆流性食道炎は、強い酸性の胃液や、胃で消化される途中の食物が食道に逆流して、 そこにとどまるために、食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状が 生じる病気です。逆流性食道炎は、もともと日本人には少ない病気でしたが、食生活の欧米化により増えている病気です。


非びらん性逆流性食道症

 上部内視鏡検査では異常がないが、胃酸の逆流があり、胸焼けや胸の痛みがおこる病気です。内視鏡で異常がないため発見が遅れることがあります。内服や生活指導で症状が改善します。専門医と相談することをお勧めします。


マロリー・ワイス症候群

 マロリー・ワイス症候群(Mallory-Weiss syndrome)とは、嘔吐後に下部食道に裂傷が 生じ、出血を起こす症候群です。激しく嘔吐 したあとに大量の吐血が起こり、腹痛がないことが特徴です。内視鏡を用い止血処置が必要になる場合もあります。


食道静脈瘤

 肝硬変や慢性肝炎、あるいは門脈や肝静脈の狭窄・閉鎖によって門脈圧が上昇し、その結果、食道の粘膜下の静脈が太くなる病気です。初期の段階で上部内視鏡で定期的に観察できていればよいですが、放置すると静脈が破裂する場合もあります。吐血や下血が起こり、緊急治療を要する病気です。


早期食道がん

 消化管の壁は表面から、粘膜、粘膜下層、筋層などと分かれています。食道がんは表面の粘膜から発生し、 下へ深く広がります。がんが表面に存在している間は内視鏡を用いて切除することが可能です。早期食道がんでは、ほとんど症状がありません。
お酒をのんで顔が赤くなる人や若い頃に赤くなった人は、食道がんのリスクが高いです。
内視鏡技術の進歩により早期の食道がんが発見されることが増えています。


進行食道がん

 食道がんは進行する過程で血管やリンパ管に入り込んでリンパ節に飛んだり(リンパ節転移)、肝臓や肺などの離れた臓器に飛んだりします(遠隔転移)。
どのくらいの深さまで食道がんが達しているか(壁深達度)と転移の状況から食道がんの進み具合がきまり、それにより治療方法も異なってきます。進行食道がんでは、食事のつまり感や飲み込みにくいといった症状が出現します。



胃の病気

慢性胃炎

 慢性胃炎は、胃粘膜の状態によって、表層性胃炎(胃粘膜表面で軽い炎症のある状態)、びらん性胃炎(炎症により胃粘膜表面がえぐれた状態)、萎縮性胃炎、肥厚性胃炎(胃粘膜表面が正常より厚く見える状態)と分けられます。そのうち一番多いのは萎縮性胃炎で、ピロリ菌が原因で胃粘膜の炎症が長く続いたために胃粘膜自体が萎縮し薄くなっている状態です。これらの胃炎は、上部内視鏡検査にて違いがわかります。ピロリ感染を起こしているかも内視鏡検査でわかります。


急性胃粘膜病変

 突然の上腹部 痛や吐血あるいは下血で発症し、緊急の内視鏡検査で胃や十二指腸に多くの急性潰瘍 、びらん、急性胃炎などが認められるものです。精神的・肉体的(手術、外傷、熱傷(ねっしょう)など)ストレス、鎮痛薬や解熱薬などの薬物、アルコール・香辛料などの多量摂取、そのほか、アニサキスの感染やヘリコバクター・ピロリ菌の急性感染などが原因となります。内視鏡検査で迅速に診断をつけ胃潰瘍、十二指腸潰瘍に準じた制酸剤の投与が必要です。


胃潰瘍

 胃潰瘍は、胃酸(食べ物を粥状に消化するために分泌液)がなんらかの原因によって胃 粘膜まで消化してしまい、胃壁がただれて傷つき、ひどいときには筋肉までえぐりとって しまう状態です。 ピロリ菌をもっている方に多く発症します。胃痛を自覚する状態ですと潰瘍がかなり進んだ状態と言えます。症状進行により、胃に穴が開いたり、急に吐血をきたすことがあります。出血しているときは、内視鏡的な止血の処置が必要になります。
ピロリ菌がもっている人は、ピロリ菌の除菌が必要です。ピロリ菌をもっていない人は、制酸剤の投与が必要です。また、薬剤によっては、潰瘍をきたすものがあり、医師と相談する必要があります。


胃ポリープ

 胃ポリープとは、胃の粘膜上皮に局所的に隆起(りゅうき)した病変です。 ポリープには過形成(かけいせい) 性ポリープ、胃底腺(いていせん)ポリープ、特殊 なポリープとして腺腫(せんしゅ)などがあります。ポリープの一部には、がん化をきたすものや出血の原因になるものも存在します。その場合は、ポリープ切除や内視鏡的切除術が必要になります。また、ピロリ菌感染で出現するポリープも存在します(過形成ポリープや腺腫等)。ピロリ菌を除菌すると消失するポリープも存在します。それらのポリープの種類を区別するには、内視鏡的な診断が必要になります。バリウム等でポリープを指摘された方も一度は内視鏡検査をお勧めします。


早期胃がん

 胃の壁は 5つの層によってできています。胃壁は胃の内側から、・粘膜層(ねんまく そう)、・粘膜筋板(ねんまく きんばん)、・粘膜下層(ねんまく かそう)、・固有筋層(こゆうきんそう)、・漿膜下層(しょうまく かそう)、・漿膜(しょうまく)。という順番に外側へと層になっています。粘膜層、または粘膜層から粘膜下層まで進行している胃がんを早期胃がんといいます。粘膜層にとどまる多くの胃がんが外科手術をすることなく内視鏡で切除することができます。また、粘膜下層深部まで進行している早期胃がんでも外科治療を行えば、5年相対生存率は、97%以上と高率です。内視鏡による早期発見が重要になります。


進行胃がん

 胃の壁の固有筋層より外側に胃がんが進行している場合を進行胃がんといいます。外科的治療として標準手術といわれるものから、リンパ節まで転移が進んでいる場合に行う拡大手術等が行われます。ただし、進行胃がんになると、リンパ節への転移や肝臓や肺などに遠隔転移の可能性が高くなります。その場合の多くはは、手術を行わないで抗がん剤治療が必要になります。


胃粘膜下腫瘍

 胃粘膜下腫瘍は、胃の粘膜層よりも深いところにある胃壁内の病変によって、粘膜が胃 の内腔に突出した隆起のことをいいます。表面は平滑なことが多いのですが、大きなものではくぼみや潰瘍がある場合もあります。良性の病変では、平滑筋腫、迷入膵、神経性腫瘍などがあり経過観察でよいものが多いです。しかし、GIST(消化管間質腫瘍)とよばれる腫瘍の一部に増大するものがあり、2cm以上になると治療の適応となるものがあります。内視鏡検査で発見し、場合によって内視鏡的超音波検査により粘膜下腫瘍の種類の診断が必要になります。


胃リンパ腫

 胃悪性リンパ腫(以下胃リンパ腫)には、MALT リンパ腫とびまん性大細胞 B 細胞性リンパ腫をはじめとして、いくつかのリンパ腫があります。大半はMALT リンパ腫と びまん性大細胞B細胞性リンパ腫になります。 MALT リンパ腫は、早期に発見すれば、ピロリ菌除菌で消失することがあり、内視鏡による早期発見が重要になります。消失しない場合は他のリンパ腫と同様に放射線治療や抗がん剤治療の適応となります。


胃アニサキス症

 生のタラ、サバ、イカといった魚介類を食べたことで、その魚に潜伏していたアニサキスの幼虫が体内に入って胃に潜伏することです。無症状のこともありますが、激しい胃の痛みに襲われ、上腹部に強い痛みが出現します。摘出しないとつらい症状が続きます。症状がある場合は、緊急内視鏡でアニサキスを摘出することをお勧めします。


機能性ディスペプシア

 胃もたれや胃の痛みがあるのに、内視鏡などの検査をしても症状の原因になりそうな病変が見つからないとき、これを機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)と呼びます。胃酸の刺激を受けやすくなっていたり、ピロリ菌によるわずかな炎症が影響したりし、脳が敏感に症状を感じやすくなっているなどが原因と考えられています。主な症状は「つらいと感じる食後のもたれ感」「食事開始後すぐに食べ物で胃が一杯になるように感じて、それ以上食べられなくなる感じ(早期飽満感)」「みぞおちの痛み(心窩部痛:しんかぶつう)」「みぞおちの焼ける感じ(心窩部灼熱感:しんかぶしゃくねつかん)」の4つです。内視鏡により胃潰瘍やがんを否定して診断することが重要で、適切な薬剤投与で症状が改善することも多いです。



十二指腸の病気

十二指腸炎

 十二指腸炎は、十二指腸(胃のすぐ下に位置している、小腸の最初の部分)の炎症です。粘膜のただれをみとめ、場合によっては多発したり、出血をきたすことがあります。その場合、腹痛を伴います。炎症が継続し粘膜がえぐれて十二指腸潰瘍になる場合もあります。ピロリ菌が原因で炎症がある場合や痛み止めの薬剤を長期間使用したりすると起こることがあります。


十二指腸潰瘍

 十二指腸の粘膜に潰瘍ができる病気です。胃に近い部分に多く見られます。十二指腸の壁は胃壁に比べて筋層が薄いので深く進行し、出血、穿孔を起こしやすい傾向があり、緊急手術が必要になる場合もあります。患者さんのピロリ菌の感染率が非常に高いといわれており、制酸剤投与とピロリ菌陽性であれば除菌療法が必要です。


十二指腸ポリープ / 粘膜下腫瘍 (GIST)/ がん or(腺腫)

 頻度は低く、良性のものがほとんどです。十二指腸にもこれらが発生する場合があります。
十二指腸の腺腫はがんと区別のつけづらいものがあります。



大腸の病気

大腸ポリープ

 大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部がいぼ状に盛り上がったもの(隆起)で、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに大きく分けられます。腫瘍性ポリープの大部分は良性で、腺腫(せんしゅ)と呼ばれますが、大きさが増すに従って部分的に小さながんを伴っていることが多くなり、それは腺腫内がんと呼ばれています。すなわち、腺腫の一部は放っておくと、がんになることがあります。内視鏡専門医により適切にポリープの診断をし、治療の必要なものは、早期の内に内視鏡的に切除することをお勧めします。


早期大腸がん

 消化管の壁は表面から、粘膜、粘膜下層、筋層などと分かれています。大腸がんは、表面の粘膜から発生し、 下へ深く広がります。下への広がりが粘膜下層までのがんを早期大腸がんといいます。ポリープ形態からがんになることがあります。また、平坦で大腸のひだに隠れやすい病変も存在します。早期大腸がんの多くは、内視鏡的に切除可能なものがほとんどです。


 
進行大腸がん

 大腸がんが進行し筋層までの深さに達すると進行大腸がんと言われます。進行大腸がんになると血管やリンパ管に入り込んでリンパ節に飛んだり(リンパ節転移)、肝臓や肺などの離れた臓器に飛んだりします(遠隔転移)。遠隔転移がなければ多くは手術で切除可能です。遠隔転移がある場合は、多くは化学療法の適応となります。進行大腸がんは、腸管を狭窄させることもあります。その場合、便が細くなったり、平たくなったり、腸閉塞をきたすこともあります。


感染性腸炎

 感染性腸炎とは、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染して嘔吐、下痢などの消化器症状を引き起こす病気です。多くは食品や飲料水をとおして経口的に病原体が体に入り起こりますが、一部ペットやヒトからの感染もあります。脱水状態となることがあるので、その程度に応じて経口あるいは経静脈的に水分、電解質、ブドウ糖を補給します。整腸剤投与や経過観察が必要です。


虚血性腸炎

 虚血性大腸炎は、大腸に血液を送る動脈の血流が一時的に阻害されることで起こります 。不整脈のある方、便秘がちの方に注意が必要な病気です。高齢者に多く、左の下腹部に腹痛をきたし、血便が継続します。腸管の安静のため入院加療が必要な場合があります。


  
大腸憩室症

 大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)は、大腸の腸管内壁の一部が腸管内圧の上昇 などの要因により袋状に腸壁外に突出した状態です。高齢者に多く、上行結腸、S状結腸に多発し、憩室に便が詰まるなどし便通異常(下痢 軟便 便秘)をきたすこともあります。 合併症としては、憩室出血や憩室炎が10~20%の頻度で発生し、強い腹痛、発熱、血便などを伴います。出血が続くときは、内視鏡による止血術が必要になります。


便秘

 便秘には、便が作られる過程や排便の仕組みに障害があって起こる「機能性便秘」と、腸そのものの病変によって起こる「器質性便秘」があります。「器質性便秘」の代表は、大腸がんや憩室症などです。「機能性便秘」はさらに「弛緩性便秘」「痙攣性便秘」「直腸性便秘」があります。弛緩性便秘は、大腸の蠕動運動が弱くなったり、筋力が低下して便を押し出すことができなくなったりすることで起こります。高齢者や出産回数の多い女性によくみられます。痙攣性便秘は、ストレスにより自律神経が乱れて、腸の運動がひきつったようになり、便の通りが悪くなって起こります。下剤の乱用で、腸が過剰に蠕動運動をすることでも起こり、下痢と便秘を交互に繰り返すことがあります。直腸性便秘は、便が直腸(便が排出される直前の場所)まで運ばれているにも関わらず、便意が脳に伝わらないために起こります。便意を我慢し過ぎたり、浣腸を乱用したりすることが主な原因です。


クローン病

 小腸、大腸を中心とする消化管に炎症を起こし、びらんや潰瘍を生じる慢性の疾患です。症状は、腹痛、下痢、下血、体重減少、発熱などです。20代に最も多く発症しますが、ほかの年代にもみられます。専門的な医療機関で治療が必要です。


潰瘍性大腸炎

 大腸粘膜が炎症を起こしてただれ、びらんや潰瘍を形成します。症状は粘血便、下痢、腹痛などです。20~30代の若年成人に多く発症しますが、50~60代の人にもみられます。
最近、日本でも急速に患者数が増えています。炎症を放置すると将来的にがんがはっせいすることがあります。適切な治療と内視鏡による経過観察が必要です。


過敏性腸症候群

 腸の検査や血液検査で明らかな異常が認められないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感を伴って、便秘や下痢が長く続く病気です。日本人では10~15%に認められ、頻度の高い病気です。便通の状態により、便秘型、下痢型、交代型の3つに分類されます。男性では下痢型、女性では便秘型が目立ちます。内視鏡による器質疾患の否定と内服治療が有効な方がいます。


痔核

 過度のいきみ、血行障害などにより生じる 肛門部の腫れで、一般に「いぼ痔」とよばれるものです。肛門の歯状線の中にある か外にあるかによって、内痔核、外痔核に分けられます。出血や痛みが強いときは、治療の対象となります。